ユニクロを超えた!ワークマンの経営戦略と人事制度を採用情報から解説!

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ユニクロを上回る実績を残した小売企業をご存じでしょうか。その企業はワークマンです。今回はワークマンの経営戦略をはじめ採用情報から読み取れる人事制度を解説していきます。人事制度の改定を検討している人事部の方はぜひ参考にしてみてください。

そもそもワークマンの経営戦略とは?

ブルーオーシャン市場(競合がいない未開拓の市場)の拡大がワークマンの基本戦略ですが、そのほかにも特徴的な戦略が見受けられます。ワークマンの経営戦略を2つ解説していきます。

経営戦略1.しないことを決める

ワークマンは実施する戦略を決めるのではなく、実施しない戦略を決める点に特徴があります。いわゆる「しない経営」という経営戦略です。

「しない経営」の具体的な戦略は下記の通りです。

・ストレスになることはしない(期限、ノルマ、頑張るなど)
・ワークマンらしくないことはしない(アパレル業の戦略はマネしない)
・価値のない無駄なことはしない(社内行事、経営幹部の出社など)

頑張らなくていい企業と聞いて不安を覚えるかもしれません。しかし、2020年3月の時点で業績は10期連続で最高益を更新し、2020年9月末の時点でユニクロの国内店舗数を抜いています。

出典:ワークマンは社員のストレスになることはしない
(DIAMOND online)

経営戦略2.Excelを使いこなす

ワークマンではExcelを重視した経営を行っています。Excel経営によって、SVの仕事は半分になったとのことです。

たとえば、ワークマンの社員がExcelで作ったツールに「未導入製品発見ツール」があります。売れ筋なのに仕入れていない製品について、売上ごとに上位から並べるツールです。SV(スーバーバイザー)は店長にツールの結果を実際に見せます。

ワークマンに限らず、商品企画や人事などのさまざまな部門でExcelは使われているはずです。しかし、通常のサラリーマンはExcelの力を最大限に活用できていないのが実情です。

使いこなせていないにもかかわらず、HRTechやDX(デジタルトランスフォーメーション)などの流行ばかりを追いかける風潮があります。

有能な経営者はワークマンのように流行に惑わされることがありません。仮にDXに近い方針をビジネスに取り入れても、特に意識をせず地に足をつけた経営を行うでしょう。

ワークマンの特徴や人事制度

ワークマンは結論としてジョブ型人事制度ではありません。ワークマンの採用情報から会社の特徴や人事に関するポイントを分析してみます。

※参考
株式会社ワークマン 採用情報
(株式会社ワークマン)

ポイント1.知名度を生かした全国募集

ワークマンの採用情報では、「全国店舗・パートアルバイト募集中!」という宣伝が目に入ります。

ワークマンは90%フランチャイズといわれており、知名度をいかして全国募集をするのは理にかなっているでしょう。

働いている人の顔写真や企業が目指す成長の方向性なども記載されているほか、ワークマンの自社製品が紹介されています。

プロ向けの衣服をアウトドアや妊婦さん向けに提供するなどして、派生商品を販売しているのが特徴です。

ポイント2.ワークマンはコンサルティング企業

「ワークマンは小売業ではありません」と記載されています。

ワークマンは簡単にいうと小売コンサルタントです。採用情報では、3年目以降は自分で小売りを行うのではなく、製品開発や加盟店へのコンサルティング、販促企画などの本部業務を行うことが明記されています。

最初は現場で店長を経験することもあるでしょうが、いずれはSV(スーパーバイザー)になってコンサルティングを行う流れです。

現代はコンサルブームが訪れており、東大や京大、一ツ橋大などの優秀な大学生が、コンサルティング業界を志望する傾向が見られます。ただ、悲しいことに有名な大学を出て有名なコンサルティング企業に入社しても駒のように扱われてしまうケースもあります。

とにかく思考訓練やデータ分析を要求されるので、かなりの知識を蓄えられるでしょう。しかし、大企業の戦略は大企業でしか役に立たないことが多く、自分の成長に役立つかは微妙なところです。

その一方、商品販売に関するコンサルティングは少し違います。身につくビジネス能力も様々なので、コンサルティングに進むのであればワークマンは望ましい環境でしょう。

ポイント3.さまざまなスキルが身につく

通常の会社であれば、会社の業務内容や先輩の声、やりがいなどが記載されるでしょう。一方、ワークマンでは身につくスキルについて詳細に記されています。

【商品部】

・製品企画力
・デザイン力
・ファッション感度
・分析力
・交渉力
・語学力
・貿易実務

企画力とデザイン力でワークマンの収益を高める部門です。欧州でのデザイン研修も実施しています。

【スーパーバイズ(SV)部】

・コンサル能力
・提案力
・コミュニケーション力
・データ活用力
・機動力
・問題発見力と対応能力

フランチャイズ店舗への経営指導ができると、自分も経営能力のノウハウが身につきます。データ活用能力については有名になった「Excel経営」のベースとなる力でしょう。

【営業企画部】

・企画力
・クリエイティブ能力
・マーケティング能力
・マスコミやSNS活用力
・販促媒体作成能力

ワークマンはアンバサダーマーケティングを実施している点が特徴です。アンバサダーは大使を意味する言葉であり、アンバサダーマーケティングはSNSやブログを活用する販促手法です。

【SV部、ロジスティクス部、情報システム部】

・システム構築能力
・需要の調整力
・データ解析力
・需要予測アルゴリズムの活用力と検証能力
・構想力

ワークマンでは、加盟店と本部の仕入れに関して、需要予測型の完全自動発注システムが稼働しています。情報解析をしたり、需要予測のアルゴリズムを作成したりするなどして、データ経営を全社に広めています。

【ネット通販部】

・情報発信力
・データ分析力
・ABテスト
・コンテンツマーケティング
・インフルエンサーマーケティング

ワークマンを好んで使っている人はたくさん存在し、その中からブロガーやユーチューバーを集めています。具体的にはアフィリエイターやブロガー向けに展示会を開催しています。

ポイント4.キャリアアップパターンが明確

入社する社員が将来のイメージを湧かせられるように、キャリアアップパターン図について紹介されているのは親切です。

出典:キャリアアップパターン図
(株式会社ワークマン)

キャリアアップパターン図では部長代理になるまでのモデルパターンが3種類示されています。いずれのパターンも、1年目から10年目までのジュニア・クラス、11年目以降のミドルマネジメント・クラスの2段階に分けて、役割の変化が記載されています。

セミナーや仕事、海外研修などでステップアップしていく仕組みです。ジョブローテーションの仕組みも採用しており、さまざまな仕事を経験できる環境を整えています。

ワークマンにおける採用情報の欠点

ワークマンの採用情報を確認しましたが、まだ改善すべき余地も見受けられます。ワークマンの採用情報における欠点を2つ解説します。

欠点1.ランディングページではない

採用情報では、新卒採用に関して採用情報トップや入社後の流れなど、入社後のイメージが湧くようなコンテンツが用意されています。構成としてはよい内容ですが、ホームページで伝えているところは欠点でしょう。

ホームページはチャンネルを選べるテレビに例えることができ、閲覧者が情報を取捨選択できます。しかし、採用担当が伝えたいことを順番通りに伝えられません。一方でランディングページは映画のように最後まで読まなければなりません。

したがって、採用方針を掲載するのであれば、ランディングページのほうが望ましいでしょう。ただ、採用方針に対するランディングページの導入は、日本では一般的ではないのが実情です。

欠点2.求める人材像が記載されている

採用情報によると、ワークマンが求める人材像は下記の通りです。

・早めに責任のある仕事をしたい方
・日本全国への訪問に興味のある方
・親切心と協調性のある方

このように採用で求める人材像を記載するケースがありますが、あまりおすすめできません。それより、応募してほしくない人材を記載したほうがよいでしょう。

ワークマンは大企業なので一概には欠点だといえないかもしれませんが、中小企業は人の能力が業績に反映されやすいため、採用を間違ってはいけません。

そのまま記載するよりも、不適格な人材像を記載して、このような人は我が社は求めていませんと謳ったほうが強いメッセージを伝えやすくなり、採用の精度が高まりやすくなります。

たとえば、ワークマンの例でいえば不適格な人材像は下記のような表現になります。

・向上心や学ぶ意欲のない方
・じっとしているのが好きな方
・同僚や上司を尊敬できない方

人事制度ではスキルアップを明確にしよう

ワークマンは売上規模9,400億円のグループで中核企業として邁進しています。機能性に優れた製品を安く提供しており、フランチャイズ店のオーナーからの満足度が高く、結果としてユニクロを上回る実績を残しました。

これからの時代を生き抜くには自分で正しくスキルアップをしなければなりません。DXといった流行に惑わされず、マーケティング能力や分析力、販売力などを身につけることが最優先です。

これらのスキルを身につければ商売やフリーランス、起業などの選択肢が見えてきます。ワークマンであれば入社してから3年後にコンサルティング能力を磨くことが可能です。

不安定な時代を生きるために、求職者がスキルを身につけられる環境を求める傾向は増えると考えられます。ワークマンの人事制度を参考にして、優秀な人材を獲得できる環境を整えてみてはいかがでしょうか。