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アメリカの風土から学ぶ!ジョブ型人事制度のデメリットや導入の課題

カテゴリ: 会員限定

働き方に成果を求めるのであれば、日本がジョブ型人事制度を昔から導入していてもおかしくはないでしょう。しかし日本では、メンバーシップ型の働き方が浸透しており、ジョブ型は一般的ではありませんでした。

その理由を理解するには、ジョブ型人事制度が主流となっているアメリカの風土を知る必要があります。今回はアメリカの組織風土を解説しつつ、ジョブ型人事制度のデメリットや導入の課題などについて考察していきます。

アメリカでジョブ型人事制度が根付いている理由

アメリカでジョブ型人事制度が根付いている理由を理解するために、アメリカの組織風土から紹介していきます。

職場でゴミ箱を掃除すると怒られる

日本人がアメリカの拠点で勤務すると、職場で興味深い出来事に遭遇することがあります。それはゴミ箱の掃除です。

一般的に日本では、ゴミ箱を空にしてきれいにするのがマナーだと考えられています。しかしアメリカでは、社員がゴミを捨てようとすると、意外なことに怒られてしまうのです。

昔の日本では、職場における身の回りのことについて、自分達で整理するのが当たり前とされています。女性が上司にお茶を用意することですら一般的であった時代もあり、中高年の方々であればゴミ箱のマナーについて違和感を持つことは少ないでしょう。

アメリカでは家族団らんの時間を確保するために、朝早くから出社して夕方には退社する文化があります。そのため、夕方にフロア清掃が行われることが多い傾向です。

そのときにゴミ箱が空になっていると、清掃をする人の仕事がなくなってしまいます。

他人から仕事を奪うのはタブー

突き詰めると、清掃員はゴミ捨ての対価として給与をもらっているため、社員がゴミを捨てることは仕事を奪うことだと解釈されてしまうのでしょう。

このように、アメリカでは仕事を奪うことをタブーとする文化があります。ちなみに、入国の側面からもこの文化が読み取れます。

たとえばアメリカは、移民を厳格にチェックする国であると知られています。おそらく移民によって仕事が奪われてしまうことを危惧しているのでしょう。

困っている人を助けるのは当然ではない

日本のスーパーやドラッグストアではレジ打ちをしている人や棚に商品を補充している人を見かけます。レジが忙しくなったときにはアナウンスが流れて、商品を補充していた人がレジのサポートに向かいます。

しかし、アメリカでは同じ状況では手伝ってもらえません。レジの担当者と商品補充の担当者がそれぞれの業務に集中することが当たり前だと考えられます。当然、各スタッフの生産性は高まるといえるでしょう。

日本人は周りの人が困っていたら助けるのは当たり前と教えられてきました。このような光景を日本の社員が見たら、殺伐としていると感じるかもしれません。

しかし、アメリカでは他人の仕事を奪ってはいけないという風土があるので、仕事でサポートしてもらえなくても不満を持ちづらいといえます。

このような事例を考えると、アメリカでジョブ型人事制度が根付いている理由も納得できるのではないでしょうか。

アメリカの風土からわかるジョブ型雇用制度のデメリット

ゴミ箱の掃除の事例からは、担当者が決まっている仕事を他人が遂行するのはタブーであるとわかりました。この風土は、典型的なジョブ型雇用制度のベースとなっていると容易に想像できます。

ただ、他人の仕事を手伝うと怒られるのであれば、困っている人を助けられません。仕事で困っている人を手伝って逆に責められるのであれば、助け合いの精神は生まれないでしょう。

お互いにサポートできない状況をふまえて、ジョブ型人事制度のデメリットを考えてみます。

デメリット1.新規事業の立ち上げに支障が出る

新規事業を立ち上げるときは、さまざまな部署から関係者が集まって、ブレインストーミングを行い、いろいろなプランを立案します。

このとき、プランに応じて業務に担当を割りあてますが、ジョブ型人事制度であれば職務記述書を変更しなければなりません。同時に仕事量が増えることから給与を見直す必要もあります。

つまり、今まで契約していない仕事を担当することになります。その点について、日本人であればおそらく当たり前のように仕事を進めていくことでしょう。しかし、仮にアメリカ出身の日本人がいたとすると、反発する可能性があります。

デメリット2.スムーズに人員補充できない

工場で増産が必要になったときについて考えてみましょう。

たとえば、部品工場が火災トラブルに見舞われ、対処するために人員を補充する必要が発生したとします。日本のようなメンバーシップ型あるいはロール型であれば、製造ラインに人員を異動させることは難しくはないでしょう。

しかし、完ぺきなジョブ型人事制度のもとでは、仕組みが異なるので同じように対処できません。すると新しいスタッフを採用するしか方法はなくなります。

短期間の人員補充のために採用活動をするのは生産的ではありません。ただ、採用しないとビジネスチャンスを失うことも確かです。

アメリカの企業がチームの生産性を高める仕組み

ジョブ型人事制度ではチームの生産性に関するデメリットが見受けられました。しかし、現実的にアメリカの会社組織でもチームプレーは当然ながら要求されます。

アメリカでは、どのようにチームの生産性を高めているのでしょうか。

アメリカにおいて、チームパフォーマンスの管理はマネージャーの仕事です。日本でいうと課長の役割に相当します。

上司から納期や目標値、予算を含めて職務を指示されると、マネージャーは自分のやるべき仕事をスタッフに割り当てます。

ちなみに、アメリカのマネージャーは現場のスタッフに関する採用・解雇の権限まで持っています。

ジョブ型人事制度を導入するときの課題

会社に組織文化があるように国にも風土があります。そのため、制度をいきなりすべて切り替えるのは難しく、徐々に切り替えていくことになります。

そうなると、ジョブ型とメンバーシップ型が混在した期間が長期的に続くことになるのは間違いありません。

ジョブ型人事制度を導入すると生産性が高まりますが、困っている社員が放置される可能性も高まります。

ジョブ型の特徴を重視する社員と、メンバーシップ型の特徴を優先する社員の間で、不公平感が生じる可能性が高いといえます。

したがって、ジョブ型とメンバーシップ型の長所について、同じ人事制度で両立していく方法を経営者と人事部は考えなければなりません。

木材の生育は、風と土でほとんど決まるといわれており、その土地の風土が与える影響は絶大です。ジョブ型とメンバーシップ型においても、組織風土は無視できません。

もしチームワークを重視する会社であれば、無理をしてジョブ型人事制度を導入するよりも、ほかの手段で生産性を高めることも検討したほうがよいこともあります。

ジョブ型人事制度を深く考えずに導入すると、後々トラブルが起きるかもしれない点には注意しましょう。

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