アフターコロナの在宅勤務に適した評価体制は?Netflixの人事制度を解説!

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新型コロナウイルスによって在宅勤務を導入した企業が増加しています。しかし、新たな勤務環境に従来の評価体制がマッチしないケースも少なくありません。今回はアフターコロナの在宅勤務に適した人事制度について、Netflix(ネットフリックス)の事例から学んでいきます。

Netflix(ネットフリックス)から学ぶ人事戦略

Netflix(ネットフリックス)という会社をご存じでしょうか。もともと小さなレンタルビデオ店でしたが、現在では急成長を遂げた動画配信企業として一躍有名になりました。コロナ禍で適切な人事制度を整えるために、Netflixの人事戦略を分析していきましょう。

Netflixはコロナ禍でも急成長

Netflixはオンデマンドやビデオプログラム、映画配信などの事業を展開しています。ビジネスモデルとしてはいわゆるサブスクリプションを採用しており、月額費用を支払うことで動画が見放題になるサービスです。

ある日の夜、インターネット全体のデータ通信量の半分以上がNetflixの通信データであったという調査結果が出たこともあります。それくらいに急成長を遂げました。

Netflix以外にもコロナ禍にもかかわらず、会社の売上が増加している事例があります。たとえば、web会議ツールを提供しているZoom(ズーム)です。コロナ禍によって急に需要が増えすぎて、サポート体制が追いつかない事態に陥ってしまったほどです。

ちなみにNetflixは、コロナ禍に限らず以前から急成長企業として注目されていました。小さなビデオレンタル店から拡大するまでに、独自の人事戦略を実施してきた歴史があります。

Netflixでは人事考課と報酬制度を分離

極論として、Netflixは人事考課制度が時間と労力の無駄だという考えをベースに据えています。人事制度コンサルタントからしたら奇想天外に感じる内容かもしれません。

ただ、人事考課制度には時間と労力がかかることは事実です。日本のグローバル企業でも欧米流の人事考課制度を取り入れていたケースがあります。外国人とともに働くうえで、評価制度がとても丁寧に整備されました。

しかし、非常に時間がかかるというデメリットも課題として見受けられるのも確かです。大企業であれば時間と労力をかけられるかもしれませんが、中小企業では導入できないケースもあるでしょう。

そのため、最低限の評価制度を整えるために、マルチアングルフィードバック(個人の業績を数値で定量化する方法)のような仕組みを採用する人事コンサルタントもいます。いわゆる360度評価に近い評価方法です。

ただ、360度評価は非常に難しい一面も持っています。恣意的に高い評価や低い評価を与えることができたり、評価すべき人数の指定があったり、不自然な結果が起こりやすい制度でもあります。

その点、Netflixでは人事考課と報酬制度を分離する方針を採用しました。コロナ禍で在宅勤務が主流になってきていますが、Netflixの人事戦略は新たな局面において、人事評価制度の環境を整えるうえで経営者のヒントになるはずです。

貢献度や業績を正しく評価するには?

Netflixは人事考課と報酬制度あえて切り離しましたが、そうすると業績評価のみで給与を決めなければなりません。経営者は貢献度や業績をどのように評価すればよいのでしょうか。

そもそも日本企業の評価方法は?

日本の小・中学校では通知表の評価制度は5段階評価です。企業も同様に5段階評価の体制をとるケースがほとんどで、少なからず日本の風習から影響を受けています。

5段階評価の特徴は中心付近の評価が多くなることです。つまり、3点の人が多くなります。これは、厳しい評価を付けたがらない、飛びぬけた評価がしづらいからです。

そのため、5点の比率をある程度決めてから予算を配分する企業もあります。

べき乗の法則

評価制度を考えるにあたって知っておきたい法則もあります。80%の利益は20%の社員から生まれているという、べき乗の法則です。

世の中を考えると、べき乗の法則がいたるところで見受けられます。計算では確率が非常に低いけれども実際に起こってしまう事象は、べき乗の法則に従っているようです。

たとえば、大きな地震は非常に低い確率であるにもかかわらず、頻発しているように見えます。また、天才の誕生や株価の暴落なども正規分布では存在確率がゼロに近いにも関わらず、発生しています。

そのほか、砂粒の大きさ、コップが割れたときの破片などにもべき乗の法則が根底で成り立っているといいます。

貢献度を評価したデータのグラフ

では、人間の能力をあらわす分布は、どのような形であらわされるのでしょうか?

数百人規模の会社で貢献度を評価したデータを例に考えてみましょう。横軸が順位、縦軸が貢献度をあらわすとします。

データは、年齢と職位に関係なく貢献度の高い順に社員の順位を単純に並べただけのグラフとし、貢献度に関しては多面的にお互いが評価することを前提条件とします。

一般的に順位の上位者になるほど貢献度が急激に高まる傾向です。中心の順位に近づくにつれて貢献度の変化はなだらかになっていきます。さらに最下位に近づくにつれて貢献度が急激に低下する傾向です。ロングテールのイメージに近いことがわかります。

中央のなだらかさは、5段階評価でいえば3点と4点、3点と2点の境が僅差であることを示していると考えられます。つまり、どんぐりの背比べです。

実際の企業では、この僅差を巡って評価基準に不満を抱く方もいるのでしょう。

公正な評価には主観の排除が必要

人間が人間を評価する以上、主観的な評価で得点が決定します。人間は主観的な生き物であり、客観的な評価をするのが難しいのです。管理職がいかに研修を受けたとしても、無意識に生じる評価のバイアスを改善するのは難しいでしょう。

主観を取り除く方法として重要かつリーズナブルな方法は、多数決の原理です。多数決は主観的なデータの集まりであり、データが多くなるほど客観化していくという特徴があります。

たとえば、飲食店の評価をする場合を考えればわかります。通常はインターネットで口コミを探し、コメントの内容や評価点、件数などをもとに飲食店を選ぶのが一般的です。

それぞれが自分なりの評価軸を持っているでしょうが、私たちは本能的に口コミの件数を重視して最終的な評価を下す傾向があります。

しかし、日本の会社の人事制度ではこれら多数決の評価基準を忘れて5段階評価を採用しています。優秀な一部の人を除いて、会社の屋台骨を支える一般的な社員の能力にはほとんど違いがありません。部下や同僚、上司との関係や勤務環境も異なるので、そもそも5段階評価で公正に評価するのは難しいといえます。

在宅勤務に適した人事戦略を考えよう

在宅勤務であれば、部下が上司の管理下を離れます。社員の良い部分や仕事の改善点について把握できるわけがありません。

したがって、部下の業務が把握されにくくなり、なおさら評価が不正確になるでしょう。昔の人事制度では立ち行かなくなってしまうことは間違いありません。

そのような背景から、アフターコロナの在宅勤務に対応した評価制度について、すでに議論が開始されています。

しかし、人事戦略ではウィズコロナ時代にかかわらず、人事評価の本質や人間の能力分布、貢献度の高い人材を増やす方法を考えるのは当然です。

人事制度コンサルタントや人事ツールの利用に頼ると、どうしても目標や評価軸の設定など、枝葉末節ばかりに目を奪われてしまいます。他人任せにするのではなく、本質的に会社を成長させる人事制度を各社で検討すべき時期に突入しています。

今回紹介した貢献度の分布を把握して、公正な評価をする方法をぜひ一度考えてみてください。

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