ウイズコロナ時代で生き残るために!正しい人件費の決め方は?

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昨今、コロナ禍の影響もあり、倒産・廃業、事業を継続できないので会社を精算する、といったニュースをよく目にします。好景気、不景気は周期的に繰り返されることでもあり、かつては中国経済のバブル崩壊で世界経済がおかしくなるのではないか、との論調が多く見受けられましたが、今回誰も想像しなかったパンデミックという形で不景気に直面しました。

平常時、売上が立っている時にはお金が回っており、人件費は気になりませんが、このような非常時・不景気の中では人件費の負担に耐えられなくなり、事業を畳むというケースが多くあります。

今回はウイズコロナの時代で生き残るための人事戦略の基礎的な知識と、会社の人件費の決め方や調べ方について解説していきます。

人件費が適正かどうかは誰も答えられない

人件費の払っている量や総額が適正なのか、または部門別の人件費の割合が適正なのかなど、様々な形で人件費については経営者の関心にぶつかります。

経営者の問いかけで一番多いのは「ウチの人件費は適正か?」です。その質問は人事部などに向けられます。しかし、人件費の適正額については世の中には情報がなく、人事部や人事コンサルでさえもなかなか答えられないのが実情です。

人事部やコンサルタントが適正を答えられないのには訳があります。それは正しい検証方法を知らない、分からないというのが最大の原因です。

教科書に載っている訳でもなく、「企業の人件費を決める」という経験を持った人が専門書を書かない限りは表に出てこない知識でもあるからです。

また、人件費のベンチマークのサービスを提供している会社は少なく、比較調査を依頼した場合の費用は1,000万円以上かかることもあります。依頼をしたとしても総額に対する見解を教えてくれる会社は非常に稀です。

「売上高人件費比率」をベンチマークする

突然ですが「貴方は自分の会社の売上高人件費比率を把握しているでしょうか?」これに即答できる会社は全体の10%もなく、ほぼ分からないケースが多いのではないかと思います。

「売上高人件費比率」とは、会社の売上高に対する人件費の割合を示す指標です。
人件費の適正額の正しい検証方法とは、「売上高人件費比率」のベンチマークを行う事です。

自社と他社の売上高人件費比率を比較することで、少なくとも世間相場に比べて自社の人件費の位置づけと適正が分かります。しかも、ほぼコストがかからない方法で調べることができます。

他社の情報は法人企業統計調査で調べる

※参考
法人企業統計調査
(財務総合政策研究所)

他社の売上高人件費比率をベンチマークする際は、「法人企業統計調査」を調べましょう。存在があまり知られていませんが、財務省のシンクタンクである財務総合政策研究所が毎年更新している統計情報で、誰でも見ることができます。

1960年から2019年までの情報が公開されており、費目も売上高から、損益計算書や貸借対照表に関わるようなことはほとんど全部網羅されていて、人件費についての項目も細かく書かれています。

法人企業統計調査の2018年全産業の情報を基に売上高人件費比率のグラフを作成しました。内容は下記です。

グラフの縦軸はそのまま売上高人件費比率(%)を示しています。横軸は会社の売上高(百万円)を示しています。

グラフを見ると、右に行くにしたがって売上高の高い会社ほど人件費比率が下がっていきます。逆に左に向かうにしたがって、グラフのカーブが急傾斜になるのがよく分かると思います。

日本は小さい会社が多いので、グラフの左側により集まった状態になり、上記のグラフでは自社がどこに位置するのか大変わかりにくくなってしまいます。

同じ情報を基に使いやすくしたグラフも作成しました。内容は下記です。

これは対数軸表示といって、縦軸と横軸を対数に変えたものです。対数とは簡単に説明すると0の数を数えていくように、縦横軸の桁数が一桁づつ増えていくのが分かると思います。

急激なカーブを描いていたグラフが真っ直ぐになり見やすくなります。世の中の法則は意外と対数で表現されていることが多く、売上高人件費比率を見る際は参考になります。

グラフの計算式は『y=0.4186x^-0.134』となっています。
この式のxに自社の売上を代入して計算すると正しい人件費の比率を求めることができます。

今回のグラフは分かりやすくするために法人企業統計の情報から日本の「全産業(金融業除く)」を参照した集合データです。

統計は産業別に細かく切り分けられているので、自分の会社の業種に近いものを選び、上記の計算式を使うと適正な人件費比率が大体何%なのかが分かります。

売上高を見れば給与総額は決まる

上述したグラフを見ると、会社の売上高が高ければ人件費比率は下がる傾向にあり、売上高が低いほど人件費比率は高くなります。つまり中小企業・小規模事業者の方は人件費比率が高く、大企業になるにつれて人件費比率は下がっていく傾向にあります。

参考にされる際は、自社の決算書も参考にし、上記の計算式とグラフを作成して見て下さい。採用の数を決める時、社員の給与を決める時、全体の人数を決める時など、様々な人件費を決める要素がありますが、「全てひっくるめて総額として自社はいくらなのか?」を知る際は非常に便利な情報になります。

計算結果の売上高人件費比率が高ければ、今回のようなコロナ不況が来た時に早めに影響が出ます。逆に低ければ少し余力を持った経営が出来る、ということが言えます。

会社の情報を少し見返して、売上高を見れば給与総額は決まります。細かなベンチマークを高い報酬でコンサルタントに依頼することはありません。

まずは、今回の情報を基に自社の適正な人件費のレベルがどのくらいかを計算してみると経営の助けになるかと思います。