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メンバーシップ型の定義とは?ジョブ型との違いや理想の働き方まで解説!

カテゴリ: 一般公開

ジョブ型の導入が大企業を中心に流行っていますが、ふたを開けてみるとジョブ型と呼べるかわからない制度を整備している企業もあります。

その一方で、メンバーシップ型を悪者扱いする風潮もみられます。なぜ、メンバーシップ型は人気がなくなっているのでしょうか。おそらく、メンバーシップ型の定義が知られていないことが誤解の原因です。

そこで今回は、メンバーシップ型の定義をあらためて解説していきます。

メンバーシップ型の定義を詳しく理解することで、今後のキャリア設計や会社との付き合い方、収入を得る方法などについて、ヒントが得られることでしょう。

そもそも正社員の定義とは?

メンバーシップ型を理解するには、正社員の定義から知る必要があります。外国と日本に分けて正社員の定義を確認してみましょう。

海外における正社員の定義は下記の通りです。

➀フルタイム
②無期契約
③直接雇用

日本における正社員の定義は下記の通りです。

➀フルタイム
②無期契約
③直接雇用
④職務内容や配置が無限定

フルタイムとは、職場で定められた正規の勤務時間帯のうち、すべての時間帯に勤務をする働き方です。所定労働時間のうち一部しか勤務しないパートタイプとは反対の働き方です。

また、正社員の条件として、契約期間が無期限であることは、日本も海外も同じです。

直接雇用は、会社と直接雇用契約を結ぶ働き方です。派遣会社に登録し、派遣先に派遣されるのは正社員ではありません。

メンバーシップ型とは?

日本の場合は、フルタイムや無期契約、直接雇用の条件を満たしたうえで、職務内容や配置が無限定であると正社員に該当し、その雇用形態はさらにメンバーシップ型とも定義されます。

メンバーシップ型の特徴

仕事の中身や勤務先などが限定されないと、社員は希望しない仕事や配置転換を要求されることになります。単身赴任や休日出勤などの指示にも従わなければなりません。

配置変更があると、今までの経験が通用しなくなることもあります。また、仕事の範囲があいまいなので、残業が発生して長時間労働につながることもあるでしょう。

したがってメンバーシップ型だと、働き方に関する多くの決定権が会社にゆだねられ、社員の負担になるケースも少なくありません。

しかしメンバーシップ型は、終身雇用を前提とした働き方です。会社が生涯を通して社員の生活を保障してくれます。

職に就くというより、生涯を保障する会員権を買うようなイメージといえば、わかりやすいでしょう。

メンバーシップ型とジョブ型の違い

欧米のジョブ型では、職務内容や配置が限定されています。

ジョブ型では自分で職務を限定できるので、キャリアを主体的に設計できます。ただ、終身雇用の恩恵は受けられず、安定感はありません。たとえば、事業がなくなってしまえば、整理解雇に遭遇する可能性もあります。

しかし欧米の場合は、社会全体で雇用を維持する仕組みがあり、仮に解雇されてもヘッドハンティングなどで、再び職を得る機会も得やすいです。

また、ジョブ型はメンバーシップ型とは違って、新卒の一括採用とも相性が悪いことが知られています。欧米では、原則として新卒採用という概念はなく、即戦力を重視しています。必要なスキルをインターンで身につけたり、小さな会社で経験を積んだりしないと採用されません。

結果として、若者の失業率が高くなるという課題も見受けられます。ジョブ型に移行しても、すべての問題が解決することはありません。

メンバーシップ型からジョブ型へのシフトが推進される理由

なぜ、メンバーシップ型からジョブ型に移行する流れがあるのでしょうか。日本では、バブルが崩壊してから、正社員を減らす方向にシフトしていきました。

具体的には、新卒の学生を一括で採用しても、全社員の終身雇用を維持することが難しくなり、非正規雇用が増えていきました。

非正規社員は正社員よりも収入が低く、結婚もしづらくなります。そのため、非正規社員が増えると少子高齢化が進行し、将来の生産性も減少すると予測できます。

そこで、打開策として新たな雇用制度であるジョブ型が注目されたのでしょう。手に職をつければ、出産中や子育ての女性であっても収入を得られます。

正社員の安定感はないけれど、スキルを磨き続ければ収入も上がるかもしれません。

メンバーシップ型からジョブ型に移行するときの条件

日本がジョブ型に移行するのなら、人材が会社間を自由に移動できるシステムも必要です。いわゆる、会社をまたぐ配置転換を可能にする仕組みです。

ただ、配置転換の仕組みができたとしても、専門能力がなければ雇用にはつながりません。したがって、メンバーシップ型からジョブ型に移行するには、各人材が専門スキルを身につけることが前提です。

社会全体で体制を変えるのは容易ではありません。結果としてジョブ型を管理職から導入するケースが多い傾向です。

理想の雇用形態は?

ここまで、メンバーシップ型とジョブ型の働き方についておさらいしました。それぞれの特徴を踏まえて理想の雇用形態を探ってみましょう。

まず、メンバーシップ型は、会社が職務と配属を決める一方で雇用保障があり、ジョブ型は、会社と個人の合意で職務を限定する一方で、雇用保障はありません。

結論をいえば、職務を限定しつつ雇用まで保障される働き方が理想でしょう。その理想の働き方が戦略的メンバーシップ型です。

社内の専門家からキャリア面談やカウンセリングなど受けて、今後のキャリア設計について模索します。会社が職務を一方的に決めつけるのではなく、人材の個性や長所を踏まえたうえで、戦略的に人材を活用する雇用形態です。

多くの企業は、戦略的メンバーシップ型を目指しているように思えます。

また、戦略的メンバーシップ型とは別に、個人が個人の職務を限定し、雇用保障に頼らないタスク型の働き方も理想的です。

タスク型は、自分の得意分野を専門化していく働き方です。スモールビジネスのコンサル会社を作ったり、個人事業主として会社から仕事をもらったりして収入を獲得します。

たとえばウーバーイーツの配達員が良い例かもしれません。個人で職務を限定していますが、雇用されていないので、雇用保障はありません。

雇用形態の一覧表

雇用形態を一覧にまとめた表は下記の通りです。

ジョブ型だけでなく新たな雇用形態にも注目

社会全体における人材流動化の仕組みや、新卒採用の課題を解決しないと、ジョブ型は機能しません。さらに、ジョブ型の導入にあたっては、職務記述書の作成にも負担がかかることでしょう。

だからといって、単なるメンバーシップ型では対応できない時代であり、ジョブ型が注目されていると考えられます。

その過程で、ジョブ型とメンバーシップ型に優劣をつけることに意味はありません。いずれにもメリットとデメリットがあり、それぞれの長所を活かしたほうが得策でしょう。

本質を見抜いている企業は最良の働き方を追求し、戦略的メンバーシップ型に向かって動き出しています。

加えて、これから注目したいのがタスク型です。個人が専門力を武器に企業と対等にビジネスできれば、仕事の自由度が増えます。

メンバーシップ型の定義を再確認したうえで、新たな雇用形態に注目してみてはいかがでしょうか。



こちらの動画でも詳しく解説しています。よろしければご覧ください。

「今さら聞けない人事のはなし メンバーシップ型雇用って実際何なの?」

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