Facebook Pixel Code
”ロゴ”
”メニューアイコン”

オリンパスのジョブ型から学ぶ!アフターコロナのキャリア設計方法とは?

カテゴリ: 一般公開

2020年になって、日立製作所や資生堂、KDDI、富士通などが、続々とジョブ型に移行していく内容のニュースが報じられました。オリンパスもジョブ型で適材適所を目指す企業の一つです。

今回は、オリンパスのジョブ型人事制度のポイントを解説していきます。新型コロナウイルスによって激変した時代において、社員のキャリア設計を見直したい経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

オリンパスがジョブ型に移行する背景

オリンパスは、医療系の大手機器メーカーです。カメラに関連した企業のイメージがありますが、主に内視鏡などを提供しています。

日本の企業ですが、今後はグローバルメドテックカンパニーになることを目指しており、海外進出を視野に入れています。当然、日本から海外進出するには、製品を海外で販売しなければなりません。

商品の企画や製造は日本で行えても、海外で活躍できる優秀な人材を確保する必要があります。

このとき、日本で知られている職能給や年功序列にもとづく制度だと、採用で不都合が生じます。したがって、ビジネスのグローバル化にあわせて、日本の人事制度もグローバル化しなければなりません。

そこで、課長や役員を少なくするなど、ジョブ型を拡充する方法が検討されます。

オリンパスはジョブ型として改革を進めていますが、実態は職務型だといえるでしょう。それ以前は職能型だったので、職能型から職務型に変更することになります。

ジョブディスクリプションシートを記載し、専門性の高いプロ集団を整えられる人事制度を作るようです。

オリンパスのジョブ型人事制度に関する要点は?

オリンパスでは、グローバルな人材活用に向けた成果重視の人事制度を目指しています。まず、職能給から職務給へ変更しました。要点を確認してみましょう。

ポイント1.極端なジョブ型ではない

実際の中身を分析すると、管理職から対象としていることもあって、極端なジョブ型ではないとわかります。

また、職能給から職務給に変えても、仕事の範囲を限定して採用するというより、仕事に応じた報酬体系を重視しているようです。

目標管理による業績評価と行動評価を加味する方針を掲げています。管理職は、目標値に対する達成度や、普段の行動をもとに評価されるということです。総じて、比較的穏やかな流れでジョブ型に移行する流れが伝わってきます。

ポイント2.職務等級群という考え方を採用

※出典
統合レポート2019
(オリンパス)

従来は職能給制度であり、主に管理職と非管理職の2種類の立場に分けて考えられていました。その後、職能給制度から職務給制度に変更するにあたって、職務等級群という考え方を用いています。

職務等級群という考え方は、オリンパスにおける人事制度改革では、最大のポイントです。職務等級群では、非管理職に関しては従来と変更はありませんが、管理職をさらに4つの立場に分類しています。

具体的には、マネジメント(組織管理者)、インディビジュアルコントリビューター(複数機能を跨ぐプロジェクトリーダー)、スペシャリスト(高度技能を保有する特定分野の専門家)です。

それぞれの役割を整理してみましょう。

【役割1.マネジメント】

マネジメントは組織管理者をさし、チームのリーダーとして成果を出す存在です。部下の力を引き出さなければならず、リーダーシップが求められます。

【役割2.スペシャリスト】

スペシャリストは、高度技能を有する特定分野の専門家です。スペシャリストがいることで、ほかの立場では作れない製品を提供できたり、大幅な業務効率化を実現できたりします。比率として多くは存在しない立場だといえるでしょう。

【役割3.インディビジュアルコントリビューター】

インディビジュアルコントリビューターは、個人で組織に貢献していく立場です。複数機能を跨ぐプロジェクトリーダーでもあります。

必ずしも部下を持たない管理職であり、プレイングマネージャーというイメージを持ちます。マネジメントとスペシャリストの中間に相当する役割です。

【役割4.シニアプロフェッショナル】

シニアプロフェッショナルは、マネジメント、スペシャリスト、インディビジュアルコントリビューターの候補者です。課長補佐や課長代理などが対象となる役割だと考えられます。

オリンパスが管理職を細分化した理由

なぜオリンパスは管理職を細分化したのでしょうか。

“ジョブ型は経営のグローバル化に合わせた制度で、職務の内容を明確に定義したうえで責任と権限に見合う報酬を与える。19年度から国内の管理職約1800人を対象に導入しており、今後は一般社員に広げる。”

※引用
オリンパス、在宅勤務の日数上限撤廃 ジョブ型制度拡大
(日本経済新聞)

オリンパスでは、1,800人いる管理職をジョブ型の対象としています。管理職が1,800人いるのは、少し多いと感じる方も少なくないでしょう。

有価証券報告書によると、オリンパスの従業員は、7,024人です。

※参考
有価証券報告書
(オリンパス)

従業員の人数に対する管理職の人数の割合は25.6%です。つまり、4人に1人が管理職であり、オリンパスは管理職の比率が大きい会社だとわかります。

一般的に人事では、管理職のほうが給与は高くなる傾向です。したがって、オリンパスは人件費の領域において、負担が生じていると考えられます。

ただ、医療系の製品を取り扱っているので、競争は比較的激しくありません。差別化はできるので、製品の値段をあげて給与をカバーできるでしょう。

しかし、このままでは企業の競争力は下がってしまうと想定されます。その中で、優秀な人材や新卒学生などにも資源を配分しなければなりません。

その点、管理職の立場を細分化することで、給与を見直したいという意図が見受けられます。

アメリカでは、マネジメント職はスペシャリストよりも、2~3割ほど給与が高い傾向です。マネジメントでは、予算や期限などが設定されることから、プレッシャーが大きいという理由もあります。

マネジメントとスペシャリストの給与に差をつけないと、マネジメントを担当する人材が減ってしまうでしょう。

マネジメントとスペシャリストの立場が管理職としてくくられていると、同じ給与になります。しかし、細分化することで、スペシャリストの給与を適切に見直せるでしょう。

若手社員がキャリア形成しやすい人事制度も検討!

オリンパスが細分化した管理職の立場は、各社員のキャリア設計において参考になります。

人を動かす力に優れているのであればマネジメント、専門的な長所を活かしたいのであればスペシャリスト、オールラウンドで活躍したいのであればインディビジュアルコントリビューターなどを目指すとよいでしょう。

新卒社員では、自分のキャリアについてイメージが湧きづらいかもしれませんが、経験を積んでいくと30~40歳ぐらいに自分の適性がわかってきます。

オリンパスのように、会社が将来のポジションを具体的に掲げると、若手社員もキャリアのイメージも湧きやすくなります。

人事制度の改革を検討しているのであれば、オリンパスの職務等級群の考え方もぜひ参考にしてみてはいかがでしょう。



こちらの動画でも詳しく解説しています。よろしければご覧ください。

「オリンパスのジョブ型が教えてくれるアフターコロナのキャリア設計法」

関連記事